るるりっこ
2015年3月号 第10話「試合に行く」
ルルとリコは入部してからわずか二ヶ月しか経っていませんでしたが、毎週の一日練習や毎晩の家族との練習、プレッシャーを乗り越えようとした日々を過ごした事もあって、何となく貫禄のような物をつけ付け始めてきた頃でした。
リコはキャプテン、ルルは副キャプテンとして、チームが意気揚々とした大会一日目、いよいよ初戦が始まろうという時、リコはなぜかボーっとした様子…。
ルル…「リコ!リコ!どうしたん?体調悪いの? なんか変やよ!」
ルルはリコのいつもらしくない様子にいち早く気づき、周りに聞こえないようヒソヒソと声をかけた。
リコ… 「ンン?なんでもないよ…。絶対勝とうな。
…絶対…そやないと…」
リコは言葉尻をつぶやくように濁らせました。
「集合準備!」
審判の大きな声がグランドに響き渡りました。
リコ…「ルルごめん…とにかく頑張ろ。」
ルル…「わかった!」
「集合~!」
再度の審判の声で両チームが勢いよくグランドに駆け出し、整列。試合が始まりました。
実はこの日はリコにとって、とても重要な日だったのでした。
リコには小さい頃からそれはそれは、可愛がってもらっていた叔母(母の妹・フミ姉ちゃん)がいました。この日はフミ姉ちゃんの結婚式の日だったのでした。
幼い頃から…
リコ…「フミ姉ちゃんが結婚する時は、リコが花束 渡すからね!」
フミ…「はい、はい、楽しみにしとるからな(笑)」
リコ…「なあ、なあ、いつぅ?早く結婚してよ!」
フミ…「はい、はい。(笑)」
こんな会話が日常茶飯事でした。
まさか、大切な大会と、大好きなフミ姉ちゃんの結婚式が重なってしまうとは…。両親はリコに告げるのが大変辛かったそうです。さらに、余計に辛い事になると知りながらも、どちらに行くかはリコに選択させることにしたそうです。
その事実を告げられたリコは、やっぱり、泣きじゃくりました。「なんで!なんでなん!」布団をひっかぶり夜通し泣き続けたそうです。
翌朝、ボンボンに目を腫らしたリコがポツリ…
「試合に行く。」
「今日、フミ姉ちゃんに謝りに行く。」
「絶対勝つから、ゴメンって言ってくる。」
言葉にならない声でした。
大会…様々な思いの中、ルルリコのチームは初戦を突破!フミ姉ちゃんとの約束を果たすことができたリコ。試合終了後…
リコ…「ルル、ごめんな」と一連の状況を話した。
ルル…「そうやったんや。じゃあ、次も絶対勝たな きゃね!」
リコ…「うん。」
そして翌日の準決勝の応援団の中には、結婚式を無事終えた、大好きなフミ姉ちゃんとその旦那さんの姿もありました。