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るるりっこ


2016年7月号  第26話「二人でな…」 

 夏休みも終盤…。ルルとリコは第一次選考会以降、合否の結果を気にするあまり、何をするにも手につかず、夏休みの宿題も山盛りの状態でした。
 このころソフト部はルルとリコ、そして2年生のヒナさんの3人になってしまった為、 一時休部となり男子に交じって野球部で練習をしていました。
 夏休みの最終週の午前…いつものように野球部で練習していると、ソフト部の顧問の先生から「ルルとリコは至急職員室に来なさい!」という校内放送が流れました。
 どういう理由での呼び出し化を二人は瞬時に把握した様子で、はにかみならの笑顔でお互いが顔を見合わせ、しばらく動けない様子でした。するとヒナさんが「早くいっておいでよ!」と優しい口調で二人に声をかけました。ルルとリコはヒナさんに向かって「うん」とうなずくと一目散に職員室に向かってダッシュしていきました。
  二人が職員室に入って一分も経たないうちに…
 「やった~~!」
 という奇声に近い声を張り上げながら猛ダッシュでグランドに戻ってきました。
 リコ…「ヒナさん、受かった~~!」
 ルル…「二人とも受かった~~!」
 ヒナ…「二人ともよかったなあ!最終選考会も頑張ってな!練習付き合うからな!」
と先輩らしく二人を激励しました。二人も尋常ではないくらいの喜びで、グランドにいた野球部の男子も、その様子を暖かく見守るように見つめていました。そして何はともあれ二人が第一次選考会をクリアした事に一番安心したのは、それぞれの両親でありました。どちらかが受かって、どちらかが落ちるという結果が一番恐れるところであり、何よりも「二人とも」というところに安堵を感じたそうでした。
 それ以降のルルとリコはというと、放課後はしっかり野球部の練習をこなし、新人戦でレギュラーになることを目指して頑張ったそうです。ナイター練習や自主練では、最終選考会で合格して二人揃って三重県選抜になるという約束をし、これまで以上にハードな練習を積み重ねていきました。
 秋になり、野球部での新人戦ではレギュラーとまではいきませんでしたが、二人とも試合に出させてもらい、それぞれの個性を生かした活躍ぶりを見せ会場を沸かせていました。その男子に混ざって活躍する姿や、普段の自主練を目にしていた小学生の女の子からは、ルルとリコは、いつしか「あこがれ」の存在になっていきました。
 この二人の一生懸命に取り組む姿と、小学生の女の子達の想いが、今後巻き起こる奇跡に繋がっていくとはまだ誰も知る余地もありませんでした。
 秋も深まり、いよいよ最終次選考会の日がやってきました。第一次選考会で選ばれた40名がさらに17名まで絞り込まれます。ルルとリコ以外は全員がそれぞれの学校のソフトボール部でしっかり練習しています。さらにこの期間に新人戦も経験してきている事もあり、二人はかなり不利の状況でありました。
 しかし、選考会のグランドに向かう二人の様子は以外に堂々としているように見えます。それは、限られた環境で限られた事以上の練習を積み重ねてきたという自信と、落ちてもソフトボールは続けられる!という覚悟があったからでした。
 リコ…「ルル、絶対二人とも合格しよな!」
 ルル…「了解!二人でな!」
 そして17名に絞り込まれる最終選考会が始まったのでした。


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