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るるりっこ


2015年9月号  第16話「思わぬ試練」

 桜が満開になった4月。
 待ちに待った島の中学校の入学式の日。ルルとリコの楽しみと言えば、やはりソフトボール。今日から島の先輩達と部活ができることが何よりも楽しみだったようです。
 その証拠に、入学式に向かう二人の姿は、少し大きめの真新しいセーラー服に身を包み、いかにも新入生という初々しい格好でしたが、片手には使い慣れたグローブ、そしていつものバットを肩に掛けて…という何とも不釣合な格好だったそうです。それでも二人はニッコニコの笑顔で入学式に向かったそうです。
 当時の部員は、3年生11名、2年生1名、そして新入生ではルルリコと初心者のハズキの3人が入部する予定で、全員で15名となりそうでした。3年生にはルルの姉ルイ、リコの姉マユもいました。
 とにかく今日から島の中学校でソフトボールができる!姉ちゃん達とソフトボールができる!と張り切ってお弁当を持って入学式に向かっていった二人でしたが…。そのお昼前…。
 リ コ…「ただいま~」
 リコ母…「えっ!もう帰ってきたの?」
 リ コ…「うん、まだ部活したらいかんのやって」
 何とも言えないテンションの低さだった。
 「リリリリ~ン」
 リコ家の電話が鳴る。相手はルル母。
 ルル母…「ちょっと、聞いた~?部活まだなんやってなあ!ルルがもう帰ってきたわ!」
 親子共々拍子抜けした様子でした。あんなに張り切ってこの日を待っていたのだから仕方もありません。しかも、4月いっぱいは部活見学の期間で入部することが出来ないという学校の方針だったのですからショックも相当なものだったそうです。それもそのはず、ルルとリコが思い描いていたのは、5月の連休明けに開催される春の県大会地区予選で早速活躍したいという思いがあったからでした。
 その話を聞いたリコ父はすぐさま学校に連絡を取ったそうです。
 リコ父…「校長先生、バカ親っぷりは承知の上でお願いに上がりました。部活見学の期間を学校が設けている理由は子ども達の為というのはわかっていますが、この二人はすでに心が決まっているので、入部を認めてもらう事はできないでしょうか?」
 校 長…「父兄の方も本人達の気持ちもわかりますが、これは学校の規則ですし、他の生徒と同じ条件でないといけませんから…。」
 学校としては当然の話です。バカ親っぷりを見せたリコ父も校長先生の思いやりのある説得に、恥ずかしい自分に気が付いたそうです。リコ父は「親ばか」と「バカ親」の違いを改めて考え直すきっかけを頂いたのでした。
 そして「規則を守ってその中で活躍することに意味があるんやから、しばらくはまた自主練習やな。」とリコ父は、自分に言い聞かせるようにルルとリコに話したそうです。
 ルルとリコは、部活見学と自主練習を繰り返し、入部した時に早速レギュラーになれるよう努力し、その日を待ちました。中学に入って思わぬ試練を受けた二人でしたが、さらに彼女達の闘争心に火が付いたのは言うまでもありませんでした。


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