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るるりっこ


2015年2月号  第9話「笑顔でありますように」

 クラブチーム入部早々、大きなプレッシャーを背負ったルルとリコ。たった二人の最上級生としてチームを引っ張っていくこと、全国大会出場を果たすというチーム目標、今まで島の中で「のほほん」と過ごしてきた二人には、全く想像もしていなかったことでした。
 「とにかく練習するしかない!」
 そう答えを出した二人は、毎晩の練習を始めました。最上級生とはいえ実力もなく、ひょっこり入った新入部員の筈がいきなり先輩になったのですから、それはそれは、必死に練習するしかありませんでした。
 その様子を見ていたルルパパ・リコパパも、二人をなんとか支えていこうという思いで毎晩の練習に付き合うようになりました。練習はリコん家の前の狭い路地がお決まりで、外灯だけの薄暗い中、下級生に笑われまいと、チームに迷惑をかけまいと、監督さんに褒められたいと…ルルリコとも様々な思いを小さな胸に秘め、毎晩毎晩、練習に励みました。
 その一生懸命な姿を見ていた両家の親も次第に思いが一致し、家族同士の絆も深まっていったのです。
 チームは約2ヶ月後に迫った全国大会をかけた新人戦で優勝するため、練習は想像以上に厳しくなっていきました。当然、監督・コーチの指導にも熱が入り、厳しい言葉が出るのも頻繁になっていったのでした。
 週末の土曜日・日曜日は朝9時から夕方5時までの1日練習が普通で、遠征も頻繁になり、名古屋や静岡・大阪へ行くことも。県内での練習試合は、格上の男子チームや中学生との試合が多くなっていきました。
 ルルリコ筆頭にチームは、見る見る力をつけていきました。練習試合でも男子チームに勝つことも多くなり、あちこちから強くなってきたなあという嬉しい評価を受けるようになりました。
しかし、一方では不安な面も…。
強くなっていくにつれ、子どもたちの笑顔が少なくなっていったのはあきらかでした。
 勝つことに慣れていったのだろうか?
 ソフトボールが嫌いになりつつあるのだろうか?
 厳しさに耐え切れなくなってるのだろうか?
特に父兄は、心配を隠せない状況にありました。
 監督・コーチ陣の思いは、子ども達を全国大会に導き、素晴らしい経験をさせてあげたいという一心で指導をしていました。その過程で努力という辛い部分を乗り越えてくれるのを待つ。ただ心を鬼にして待つしかないと厳しい練習を続けました。
 この頃から、父兄の考え方が「レギュラーになるために頑張れ!試合に勝つために頑張れ!」と子どものケツを叩くというより、「支えていく」というスタンスに変化していくのでした。
 ルルリコの島での毎晩の練習では、両方のお母さん達も二人の心が折れてしまわないよう、見守るよ気持ちで参加するようになり、ただただ必死に練習するのではなく、笑顔がでる雰囲気を大切にしながら、ソフトボールを楽しめる環境を作って行くようになりました。
 それでも二人の手のひらには、素振りで潰れたマメが、治っては潰れの繰り返しで、とても小学5年生の女の子とは思えない手をしていました。この頃、二人が使用していたバットは1ヶ月でボロボロになり、すぐに交換せざるを得ない状況で、いつものスポーツ店の人も苦笑いをするほどでした。
 そして11月。いよいよ新人戦の日がやってきました。当時、三雲女子のチームが郡を抜いた強さで、三重県の小学生女子を引っ張っていました。ルルリコ初の公式戦…さてどうなることやら…。


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