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るるりっこ


2016年3月号  第22話「妄想…不安を楽しみに変える」

 2010年夏…三年生が引退し、1年生のハズキがバドミントン部に移籍、ついに3名の部員となってしまった島のソフトボール部は2年生のヒナさんをキャプテンとして、放課後は野球部で男子に交じって練習させてもらい、野球部の練習が休みの時やナイターでソフトボールの練習を続ける日々が始まりました。  1年生のルルとリコも大満足ではありませんでしたが、これからもソフトボールが出来る環境に感謝して、思いっきり楽しもう!と決めたようでした。
 当然、秋の新人戦への出場は出来ませんし、来年の春にどれだけの部員が入ってくれるかもわからない状態でしたが、3人の目標は「県大会優勝!」という強い意志を固めていました。来春に6名の部員が入ってくれれば、ヒナさんは3年生として大会出場することが出来るようになる。まずは1年後に向かって3人の新チームはスタートを切りました。
 ナイター練習では、3人の父が練習相手となって週2回のナイター練習を行いました。リコ父はソフトボール未経験者でしたが、ルルリコが小学校時代に通っていたクラブチームの練習方法やソフトボールの理論をずっと観察していた経験を活かし、また独自の勉強もしつつ素人ながら子ども達の指導に当たりました。そして3人の両親は、子ども達と「同じ目標」を持ちこの環境を楽しむようになりました。
 更にルルリコは、ナイター練習以外の日も毎晩のようにリコの家の前か、白浜という浜辺の公園の外灯の下で基本練習をするようになっていきました。そこには、毎回のようにルル母もリコ母もその様子を見守る姿がありました。
そして練習が終わるとルルリコの両親は毎回毎回これからこの子ども達がどうなっていくのかの妄想を楽しむようになりました。  それは「毎日毎日キャッチボールや素振りばかりしているけど、この子ら本当にどうなるんやろなあ?」というルル母の言葉から始まります。
    リコ父…「絶対この子らが3年になったらすごい事になっとるよ!そのころには部員が20名くらいになって地区予選ではF中に勝って県大会に出てるわなあ!」
    ルル母… 「おぉ!いいねえ!で、その頃にはなぜかあんた(リコ父)が監督しとるんやん!(笑)」
    リコ父… 「何でやねん!」(笑)
    リコ母… 「で、1回戦はルルリコのクラブチームの中等部との対戦?昔のチームメイトとの
        対戦とか感動的やよなあ!」
    ルル母… 「ええなあ、ええなあ!それから決勝は小学校の時のライバル達がいる三雲中か
        度会中な!」
    リコ父… 「 お~~ッ!すごいな~で、延長戦までいって、ルルが三塁ランナーでリコが返して
        サヨナラ勝ち!」
    三 人… 「ユ・ウ・ショ・ウ!」笑!笑!笑!
 とまあ、何の根拠もないにも関わらず、妄想の会話を毎晩、毎晩繰り返して楽しんでいました。大人の勝手な妄想を聞いているルルリコと妹のサッキンも、呆れ顔を浮かべるものの、まんざらではなくその時間を楽しんでいました。やがて妄想話をするだけすると決まってルル母…「さあ、明日もがんばろか!」で解散となります。ルルリコは両親と共に、先の見えない不安を「妄想」で楽しみに変え、今を頑張りぬくパワーを見出していたのでした。
 さて夏休みも後半…ルルとリコは、ある一つの試練を迎えようとしていました。これが二人の絆を引き裂く最大の危機になろうとはまだ誰も気づいていませんでした…。三重県女子中学生SB選抜選考会。


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