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るるりっこ


2015年5月号  第12話「クレハがやってきた!」

 新人戦を三位で終わったルルとリコのチームは、残念ながら春の全国大会・東海大会の出場権を得ることができませんでした。
 これから、春の県大会で優勝し、夏の全国大会出場を目指しての厳しい冬季練習が始まろうとしていました。そんな中、ルルとリコのチームに思わぬ話が流れ込みました。
 春の全国大会の出場チームに欠場チームが出たため、三重県の第二代表が出場できるという話でした。本来、三重県の第二代表は準優勝の雅スポーツ少年団でしたが、雅スポーツ少年団が理由あって、その話を辞退したため、三重県三位のルルとリコのチームに話が舞い込んできたのでした。
 監督はじめチームは、これから大きくステップアップしていくための大きなチャンス!と、この話を受け入れ、チームは3月に宮崎で開催される全国大会に出場することになったのでした。
 新たな目標ができたチームの練習はさらに向上心を持って行われるようになっていきました。全国大会出場というきっかけが、選手一人一人の意識を高めていきました。練習量は増え、厳しさも増していきました。練習試合では男子チームや中学生と、格上のチームとの対戦が多くなっていきました。時には、小学生でありながら高校生との合同練習に参加させてもらうこともありました。チームは日に日に上達していきました。しかし、選手たちの疲労やストレスも溜まりやすくなり、次第に笑顔が少なくなっていくのも目に見えてわかるようになっていきました。
 その中でもルルとリコは二人だけの上級生ということもあり、かなりプレッシャーを感じていました。特にルルは内野手の要として相当厳しく指導を受け、ついには、あれだけ大好きだったソフトボールなのに、練習に行くことも練習試合さえ嫌だと思い始めてきたそうです。気が付けば、ルルの表情からは完全に笑顔がなくなっていたそうです。
 そんな厳しい冬季練習が続く中、ある新入部員がやってきました。それが「紅葉(クレハ)」でした。
 クレハは、久居からやってきた5年生。ルルとリコの同級生で、とびっきり明るいシャキシャキと気持ちのいい女の子でした。
 元々、とびっきり明るい性格のルルとは直ぐさま意気投合し、次第にリコとも仲良くなっていきました。クレハが入部したことで、上級生が三人になったということもあり、チームは以前よりもたくましくなっていきました。
 何よりも、ルルの消えかけた笑顔を取り戻すきっかけがクレハとの出会いでした。クレハの入部はチームにとっても、ルル、リコにとっても大きな出会いとなりました。
 その後の冬季練習でもクレハが加わったチームは元気と明るさを取り戻し、春の全国大会に向かって俄然気合を入れて、練習に励んでいきました。
 人との良い出会いは、笑顔を生み出すこともあり、悲しみや苦しみを分かち合うこともあり、大きな力を得ます。ルルとリコは、クレハという生涯の友人と出会い、この辛い時期を乗り越えることができたのでした。
 そして3月。春がそこまでやってきた頃。いよいよ宮崎での全国大会の日がやってきました。


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