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るるりっこ


2014年9月号  第5話「うちらも、あんなふうに上手になりたい」

 ルルとリコが小学五年生の夏、野球に夢中な二人に新たな転機が訪れました。
 ある日、リコパパに一通の電話が入りました。高校時代からの友達のオクダでした。
 オクダ・・「久しぶりやなあ、リコちゃんは野球してるんやって?」
 リコパパ・・「そうそう、今夢中やよ!」
とまぁ、30代のパパのよくある子ども談義に花を咲いた。
 オクダ家も子どもが三姉妹とういうルルリコ家系と同様の共通点があった。さらにオクダが高校球児であったという事で親ばか談義は長々と続いた。
実はこの電話にはオクダの思惑があった。
 オクダ家の次女メイはソフトボールのクラブチームに所属しており、チームメイトを探していた。メイの2歳年下。そのチームは上級生に人数が少ない為、オクダはルルリコの入部をすすめてきました。
 オクダ・・「ところでさぁ、メイがソフトボールをやってるんやけど一回リコちゃん連れて見に来やへん?おもしろいよ!」
 リコパパ・・「ソフトボ~ル?地元で野球やってるしなぁ。見に行ってもいいけどその先はまずないと思うよ!」

当時リコパパはソフトボールを野球より下に見ていた事と、入部しても船に乗って通わしてまで・・という理由で半信半疑な気持ちでしたが、オクダの真剣さに押され・・
 リコパパ・・「とりあえず9月になったらリコの友達ルルも連れていくわ~」
 という事で、まずはルルリコに一通りの事を話して「伊勢のソフトボール見に行って見る?」と聴いてみた。
 ルルリコ・・「どっちでもいいよ!」
「でも、うちら島の友達と野球やっとるやん。」
「見に行くだけやったらいいよ・・」
 二人ともさほど興味がない様子、どちらかというと<お出かけ>出来るというノリで行くことに決めたようでした。両家の親も同様な気持ちでした。
 そして9月初旬の日曜日、オクダとの約束通りルルリコ、ついいでにサキを連れて両家は伊勢の五十鈴川のほとりにあるグランドに出向きました。
 グランドに着くと、お揃いのピンクのTシャツを着た女の子達が、体とは対照的な大きな声を張り上げ、一生懸命ソフトボールを追いかけていました。
 ルルリコ・・「凄いな~。元気な子ども達やなあ。」
女の子のソフトボールクラブと聞いていたのでもっとふわっとしたイメージを思い描いていた。その意外な光景を見た両家一行は、足早にグランドに入り、間近でその練習を見ることにした。
 リコパパ・・「なんじゃこりゃ!」
 目に映ってきてのは、守備練習のノック。小学生3・4年生くらいの女の子達、ルルリコよりも一回りくらい小さい身体にもかかわらず繰り出されるスーパープレイの数々。男の子にも負けていないくらいのびっくりするほどの声、ファイト、スピード、的確な動き。両家全員が唖然とした。特にソフトボールを野球より下に見ていたリコパパの衝撃は相当大きかったようでした。そしてルルリコは丸くなった瞳を輝かせてポツリ・・・
 「うちらも、あんなふうに上手になりたい」
 そんな様子を見てオクダがやってきた。「どう?」「一緒にソフトボールやらへん?」オクダは自信アリげに問いかけた。
 両家の親は返事を濁したものの完全に魅了されていたようでした。そしてルルリコ当人の気持ちも大きく揺れ動きだした。帰宅後、それぞれの想いを胸に真剣な家族会議が開かれたそうです。


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